第81章

葵は割れた窓の外に見える車のヘッドライトを一瞥し、声を押し殺した。

「左の排水溝に投げて。遠すぎちゃ駄目。水流に乗せてシグナルを逃がそうとしたって、向こうに思い込ませるの」

春は意図を察し、テープを取り出してBluetoothモジュールを鉄くずに巻きつけると、さらに泥水を擦りつけた。口では文句を垂れている。

「ポンプ室に引きこもって、Bluetoothモジュールの野外カモフラージュを作るハメになるなんて、俺の人生設計にはなかったぜ」

和也は入り口を見張り、崩れた壁の隙間から外の人影を睨みつけていた。

「散開し始めた。左に二人、右に三人。藤原眞義は車のそばから動いていない」

葵は壁...

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